【研究】自閉スペクトラム症者のコミュニケーション障害に関する新たな視点 — 最新の脳波技術を用いた科学的根拠による理解の促進

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京都大学・筑波大学・理化学研究所などの研究グループによれば,自閉スペクトラム症者がコミュニケーションをとる上での困難には,他者が示すイレギュラーなリズムへの適応が困難であることが関係していることを行動データと脳波データ解析により発見したとのことです。

行動データを解析した結果、自閉スペクトラム症群は、定型発達群に比べると、相手が人や急に変動するPCプログラム相手だと同期量が少ないことがわかりました。この同期量の少なさは、主に自閉スペクトラム症のこだわり傾向の強さと関係があることがわかりました。その一方で、リズムが一定のPCプログラムが相手の場合は、両群の同期量に差はありませんでした。これらのことから、自閉スペクトラム症者は人が持つリズムの揺らぎや急な変動に適応することが困難であることがわかりました。

次に、脳波データを解析した結果、自閉スペクトラム症群のみにおいて、認知負荷に関係する前頭シータ波が増加することがわかりました。この前頭シータ波の増加は、相手が人であってもPCであっても増加し、とくに自閉スペクトラム症のこだわり傾向の強さと関係があることがわかりました。興味深いことに、この前頭シータ波の増加は、課題の成績とは関係がありませんでした。つまり、リズム合わせができるかどうかにかかわらず、自閉スペクトラム症者は他者とリズム合わせをするだけで、脳に負荷がかかっていることがわかりました。

上記の結果から,自閉スペクトラム症者では,単純なコミュニケーションに含まれる他者のイレギュラーなリズムに適応することに負荷がかかっており,また,こだわり傾向が関係していることが明らかになりました。

そして,自閉スペクトラム症の二大特徴である「社会的コミュニケーションの障害」と「こだわり傾向の強さ」は,他者の示すイレギュラーなリズムに適応することの困難さにより,統合的に説明できる可能性が示されたとのことです。

本研究成果により、幅広い行動特徴を示す自閉スペクトラム症の背景メカニズムを、他者のイレギュラーなリズムへの適応の困難さを示す行動や脳活動をみることで、脳・行動の機能面から理論的に明らかにできる可能性が拓けました。そしてそれにより、日常生活における行動や症状の統合的理解、また新たな支援方法を提案することが可能になります。