名古屋大学の研究グループによれば,JAK1遺伝子の機能獲得変異による新規の自己炎症性角化症を発見したとのことです。
研究グループは2017年に自己炎症を発症機序として持つ炎症性角化症の新しい疾患概念として「自己炎症性角化症」を提唱しました。近年,自己炎症性角化症に含まれる疾患は増えつつあり,これをを正確に診断し,適切な治療を行うことが求められています。
なお,本研究自体は自己炎症性角化症がテーマですが,研究の過程で,JAK1遺伝子の機能獲得変異による重度の肝機能異常と自閉症スペクトラム障害を合併する新規の自己炎症性角化症を発見したとのことです。そして,患者の肝機能異常と自閉症スペクトラム障害は,JAK1遺伝子の機能獲得変異によるものと判明しました。
今回の研究から、JAK1 遺伝子の機能獲得変異が、自己炎症性角化症を引き起こすことが明らかとなりました。本研究の成果により、JAK1 遺伝子変異に起因する表現型が拡大するとともに、合併しうる肝障害と自閉症スペクトラム障害の病態メカニズムが明らかになりました。JAK1 遺伝子の機能獲得変異を持つ自己炎症性角化症の患者さんには、JAK/STAT 経路や、NF-κB 経路を標的とした治療法の効果が期待されます。
自閉症のメカニズムについてはこれまでさまざまな研究で,あらゆるアプローチから明らかになりつつありますが,まだまだ治療法の確立には時間がかかりそうですね。