【研究】レット症候群原因因子による神経幹細胞の分化制御メカニズムを明らかに-発達障害の発症メカニズムの解明と新たな治療法開発に期待-

慶應義塾大学や九州大学などの研究グループによれば,神経発達障害レット症候群の原因因子であるmethyl-CpG binding protein 2(MeCP2)がマイクロRNA(miRNA)を介して神経幹細胞の分化を制御していることを発見し,そのメカニズムを明らかにしたとのことです。

レット症候群は自閉症,てんかん,失調性歩行,特有の常同運動(手もみ動作)を主徴とする進行性の神経発達障害です。MeCP2遺伝子の変異により発症することはわかっているものの,その発症機序の詳細はこれまで不明でした。

本研究グループは脳の発生過程において、MeCP2が神経幹細胞のニューロンへの分化を促進し、通常はニューロンの機能を支持するアストロサイトへの分化は抑制していることを明らかにしました。また、そのメカニズムについて調べた結果、MeCP2はmiR-199aというmiRNAを介して脳の発達に重要な骨形成因子(BMP)シグナルを抑制することで、神経幹細胞の分化を制御していることがわかりました。さらに、MeCP2遺伝子に変異をもつレット症候群患者由来のiPS細胞から作製した脳オルガノイドではBMPシグナルの亢進とアストロサイトへの分化増加がみられ、これらがBMPシグナル阻害剤により改善できることが明らかになりました。

今回の研究結果により,レット症候群の原因因子であるMeCP2が脳の発達過程において重要な役割を担っていることがわかると同時に,MeCP2変異を持つレット症候群の病態に新たな知見を提供しました。今後はBMPシグナル阻害による方法なども含め,レット症候群を含めた発達障害の新規治療法開発につながることが期待されます。

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