【研究】社会性の発達を調節する新たな機構を発見

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富山大学や京都大学の研究グループによれば,社会性の発達を制御する新しい分子機構を明らかにしたとのことです。

自閉スペクトラム症(自閉症)は,社会性発達の障害・コミュニケーションの障害・興味や活動の偏りを特徴とした発達障害のひとつで,発症率は1%程度と考えられています。また,ニューロリジン3はシナプスに存在する膜タンパク質で,ニューレキシンと結合することでシナプスの形成を担うことが知られていました。

そして,このニューロリジン3遺伝子に生じるさまざまな変異が家族性もしくは孤発性の自閉スペクトラム症の患者より見出されてきたため,社会性の発達に重要な役割を担うタンパク質と考えられてきました。しかし,ニューロリジン3がどうやって社会性の発達を調節するのかといった仕組みは解明されていませんでした。

1. ニューロリジン3がPTPδと結合してシナプスの形成を担うことを発見しました。
2. ニューロリジン3とPTPδが結合した状態の構造を明らかにしました。
3. ニューロリジン3と結合することが知られていたニューレキシンとPTPδは競合的にニューロリジン3と結合することを発見しました。
4. ニューロリジン3がPTPδとニューレキシンのどちらとより多く結合するかによってマウスの社会性の発達が調節されることを検証しました。
5. PTPδとニューレキシンの競合バランスを調節することによる自閉スペクトラム症に対する治療・創薬への応用が期待されます。

今回の研究成果から,社会性の発達調節の一端がシナプス分子間の相互作用のバランスによって担われることがわかり,これにより社会性の調節を担う神経回路や自閉症の発病メカニズムの理解が進むと思われます。

また,今後,PTPδとニューレキシンの競合関係を標的とした自閉症に対する治療・創薬への応用も期待されます。

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