講談社ブルーバックスから出版されたばかりの書籍『脳からみた自閉症』(大隅 典子著)です。
Kindle版(電子書籍)がありますのでそちらを購入しました。以前にも書きましたが蔵書が4万冊もあるため(少しずつ処分しています),最近は電子書籍があればそちらを買うようになりました。但し熟読しなければならないものは紙を選びます。書き込みなどが容易ですから。
忙しくてまだきちんと読んではいないのですが,一般的な自閉症に関する書籍とは異なり,脳の話が中心となっています。自閉症児とどう接するのか,など日常生活の話が中心の一般書とはまったく別のアプローチなので,人によっては興味は分かれるかもしれません。読売新聞に岡ノ谷一夫氏(生物心理学者・東京大教授)の書評もありましたので参考にしてみてください。
自閉症と脳の関係では,先日「自閉症を脳回路から見分ける先端人工知能技術を開発」という研究を紹介しました。脳を140の小領域に分割して分析し,自閉症の診断に活かすというものです。また,「自閉症を脳回路から見分ける先端人工知能技術を開発」という記事では,自閉症患者の細胞によるiPS細胞で脳のミニチュアを作り,FOXG1という遺伝子が自閉症の重症度を決定付けているらしいことを紹介しました。
自閉症は遺伝病(遺伝子疾患)ではないとされていますが,遺伝子の変化が発症に関係していると考えられているようですので,場合によってはダウン症のように出生前診断で(その是非は別として)多少なりとも分かるようになったりするのでしょうか。確か7番の染色体などに自閉症に関連する遺伝子が見られたという研究もありました。
因みに遺伝病の原因は主に①染色体異常,②単一遺伝子病,③多因子遺伝病とされていますが,ダウン症は染色体異常によるものです。いわゆる21番トリソミーと呼ばれるもので,21番染色体が他の染色体にくっついてしまい,結果として3本になってしまうという転座型のトリソミー(染色体異常)です。
細胞の核の中に遺伝子(DNA)が含まれ,細胞の分裂時に核の成分が染色体となります。目にも見えない本当に小さな染色体がたった1本多いということが,これだけ大きな影響を与えるということは本当に不思議に感じます。ヒトゲノムの解析は完了しましたが,まだまだ人間の体には未知のことが溢れているようです。
【つぶやき】日常生活のことで書きたい,あるいは書き掛けの記事がたくさんあるのですが,どんどん古くなってしまっています。中にはもう記憶が曖昧になってきている出来事も出てきてしまいました。