東北大学の研究グループによれば,人工知能の一つである機械学習の手法を活用し,自閉スペクトラム症(ASD)が異種の疾患の集合体である可能性があることを世界で初めて発見したとのことです。
自閉スペクトラム症(ASD)は、症状などの表現型の点からも遺伝的要因の点からも極めて多様なものであることが指摘されてきました。ASDの主な特徴は、常同行動とコミュニケーション障害ですが、ASDには音への過敏や統合運動障害など他にも多くの症状を示す場合があります。遺伝的要因に関しては、現在のところ1,000を超える候補遺伝子が報告されていますが、ASDのリスク増加を十分に説明する遺伝的変異は特定されていません。
東北大学大学院医学系研究科の栗山進一教授を中心とする研究グループは、表現型の変数を適切に組み合わせてASD患者をグループ化(クラスタリング)すると、遺伝的感受性因子を特定するチャンスが増える可能性があることに着目し、人工知能の一つである機械学習の手法を活用して、ASDが異種の疾患の集合体である可能性があることを世界で初めて発見しました。クラスター分析とゲノムワイド関連解析(GWAS)の組み合わせアプローチはわたしたちの知る限りでは、ASD等の疾患に適用した初めての試みです。
一口に「自閉症」と言っても,典型的症状はあるにせよ,本当に人によってまったく態様が異なるものだと感じているので,こういったアプローチも大いに気になるところです。